カオスガンダム

ガンダムシリーズの登場兵器
プロトカオスから転送)

カオスガンダム (CHAOS GUNDAM) は、テレビアニメ機動戦士ガンダムSEED DESTINY』に登場する、モビルスーツ (MS) に分類される架空の有人式人型ロボット兵器のひとつ。スペースコロニー国家「プラント」の軍事組織「ザフト」が開発した試作MS群「セカンドステージシリーズ」に属する。宇宙での高速戦闘に適したモビルアーマー (MA) 形態への変形機構を有し、背部に装着された2基の推進器兼武装ユニットは、プロヴィデンスガンダムドラグーン・システムの機能を有した遠隔操作兵器となる。

カオス」はギリシア神話に登場する現初神であると同時に英語で「混沌」を意味する。公式ウェブサイトや各種メディア、関連商品などでは「カオスガンダム」と公称されるが、作中ではほかの同型機とともに固有名の「カオス」が正式名となる。

メカニックデザインは、後述する原型機のプロトカオスとともに大河原邦男が担当した。

設定解説 編集

諸元
カオスガンダム
CHAOS GUNDAM[1]
型式番号 ZGMF-X24S[1][2][3]
RGX-01(連合側ナンバー)
全高 17.43m[2][3]
重量 91.61t[2][3]
装甲材質 ヴァリアブルフェイズシフト装甲
動力源 バッテリー(パワーエクステンダー搭載)[4]
武装 MMI-GAU1717 12.5mmCIWS×4
MMI-GAU25A 20mmCIWS×2
MA-BAR721 高エネルギービームライフル×1
MA-M941 ヴァジュラビームサーベル×2
MGX-2235B カリドゥス改複相ビーム砲×1
EQFU-5X 機動兵装ポッド×2
(MA-81R ビーム突撃砲×1、AGM141 ファイヤーフライ誘導ミサイル×12)
MA-XM434 ビームクロウ×2
MMI-RG30 巡航機動防盾×1(MMI-GAU2 ピクウス76mm近接防御機関砲×2)
搭乗者 スティング・オークレー
コートニー・ヒエロニムス

ユニウス条約締結後に、ザフト製のフリーダムジャスティスといったファーストステージシリーズの基本性能を受け継いで開発された[5]5機の試作型MS群「セカンドステージシリーズ」の1機。シリーズの共通要素であるヴァリアブルフェイズシフト装甲(VPS装甲)やバッテリーへのパワーエクステンダー導入[4]、さらには外部電源供給方式であるデュートリオンビーム送電システムによって、戦闘継続時間の延長が可能である[6]。「カオス」とは「混沌」とした戦場を駆け抜ける機体としての意味合いをもち、型式番号の「X」は実験機、「2」は航空機系統、「4」は開発ナンバー、「S」は「Second Stage(セカンドステージ)」であることを示す[2][3]

ほかのセカンドステージと同様に地球連合製MSであるイージスの影響を受けており、高速移動用のMA形態に変形する[7]。本機のMA形態は宇宙空間での機動戦闘に重点が置かれており[6]、MS形態よりも旋回性と[6]と機動性が向上する[8]。一方、強大な推進力を生かした大気圏内での飛行・空中戦も可能となっている[7]

改良型ドラグーン・システムを採用した「機動兵装ポッド」のほか[2][3]、MSとしてのオーソドックスな武装も備え、全形態で両腕が露出している関係上これらの使用に特段の制限はない[6]

武装 編集

MMI-GAU1717 12.5mmCIWS、MA-GAU25A 20mmCIWS
それぞれ頭部に4門、胸部に2門ずつ内蔵されている実弾砲[2][3]
MA-BAR721 高エネルギービームライフル
高速戦闘に適した専用携行火器で、インパルス用のMA-BAR72をMA形態での高速戦闘に対応可能なよう改良したもの[2][3]。不使用時はサイドスカートに懸架される。
MA-M941ヴァジュラ ビームサーベル
アビス以外のセカンドステージ機に共通採用された接近戦用武装。不使用時はプロペラントタンク兼用のサイドスカート上部に懸架される[6]。カオスガンダムではMA形態時も前述の通り使用可能。
MGX-2235Bカリドゥス改 複相ビーム砲
背部センサーに内蔵されている高出力ビーム砲で、アビスに装備された「MGX-2235カリドゥス」の高速戦闘仕様。使用時にはセンサー部が移動し、砲口を露出させる。本機の武装では最大級の威力をもつが、装備位置の関係から使用はMA形態時に限られる。カリドゥスはラテン語で「猛火」の意[2][3]
EQFU-5X 機動兵装ポッド
大気圏内飛行可能な高推力スラスター[7]を備えるドラグーンの発展兵器。片方のポッドにつき、砲身伸長式の「MA-81R ビーム突撃砲」と、ブラストインパルスと同型の「AGM141ファイヤーフライ 誘導ミサイル」が内蔵されている。プロヴィデンスのドラグーンと比較すると、かなりの技量は必要とするものの、ある程度は普遍的なパイロットでも使用可能となっている[2][3][注 1]。なお、改良型とはいえ強奪直後にパイロットのスティング・オークレーが兵装ポッドを操れたのは、事前に本機に当装備が導入されている情報を把握していたファントムペインが有資格者を送り込んだためとされる。一方、量子通信によって相当量のエネルギーを消耗するうえに、機体のブースターを兼ねるために有重力下での着脱は不可能とされる[2][3][注 2]
MA-XM434 ビームクロウ
両膝・爪先のクローに計4基内蔵されたビームサーベル系武装。イージスのビームサーベルを参考にしたされ[10]。MS形態時はつま先の刀身を出力させた状態で蹴りを繰り出す。
MMI-RG30 巡航機動防盾
対ビームコーティングされた左腕の防御兵装。ほかのセカンドステージ機のものよりもやや小型で、MA形態での高機動戦闘を考慮した設計から「巡航機動」の名が付与された[2][3]。内蔵されている2門の「MMI-GAU2ピクウス 76mm近接防御機関砲」を用いた牽制やミサイルなどの迎撃にも使用される。

劇中での活躍 編集

軍事工廠アーモリーワン内で、母艦のミネルバに配備される直前に地球連合軍第81独立機動軍「ファントムペイン」の襲撃を受け、アビスガイアととも強奪される。以降は強奪に参加した(エクステンデッド)(生体CPUスティング・オークレーの搭乗機として、宇宙・地球の両方でミネルバ隊と激戦を繰り広げる。

インド洋やダータネルス海峡、クレタ島沖で、アスラン・ザラが搭乗するミネルバ隊のセイバーと交戦するが、戦闘に介入してきたフリーダムに両腕と兵装ポッドを切断され墜落する。その後、連合軍のベルリン侵攻時にフリーダムと再戦するが、アークエンジェルと合流した元オーブ連合首長国軍黒海派遣艦隊所属のイケヤ、ゴウ、ニシザワが搭乗するムラサメ3機の連携攻撃の前に敗北し、スティングは生存するものの機体は撃墜され使用不能となる。

機動戦士ガンダムSEED DESTINY ASTRAY』では、アーモリーワンでの運用テスト期にコートニー・ヒエロニムスがテストパイロットを務めたことが描かれている。

プロトカオス 編集

雑誌『月刊ホビージャパン』で連載された模型連動記事『機動戦士ガンダムSEED DESTINY MSV』より登場。機体色である白地に赤のラインは、SFメカとして強調したものである[11]

諸元
プロトカオス
PROTO-CHAOS[7]
型式番号 XMF-P192P[7]
装甲材質 ヴァリアブルフェイズシフト装甲
武装 EQFU-5X 機動兵装ポッド×4
(MA-81R ビーム突撃砲×1)
(AGM141 ファイヤーフライ誘導ミサイル×12)
MA-XM434 ビームクロー×2
搭乗者 コートニー・ヒエロニムス
設定解説
MAの有効性を再検証するために試作された実験機。後継機のカオスのようなMSとしての頭部や腕部はなく、ゆえに変形機構ももたない。機首メインセンサーはモノアイ方式、胴体部は巨大なリバーススラスターとなっており、その直下にコックピットが位置する関係上、後継機のようなカリドゥス改ビーム砲は装備していない。後継機の意腕部分に位置する2基を含めた計4基の機動兵装ポッドを装備しており、ポッドと本体のスラスターを合計した大推力によって圧倒的な高機動性を得ている[7]
コートニー・ヒエロニムスの操縦で試験運用が実施されたが、あまりに過酷な高機動試験ゆえに製造された6機すべてが損壊し、修復不可能と判断された3機は構造解析後には完全廃棄される。残りは修復後にモスボール処置を施され、アーモリー・ワン内に保管される[7]。アーモリーワンのセカンドステージシリーズMS強奪事件では、コートニーが搭乗した1機が実戦参加する[7]

脚注 編集

注釈 編集

  1. ^ 操作性が簡略化されているものの、機体と誘導端末の同時制御は相応の素質が必要とした資料も見られる[9]
  2. ^ 『DESTINY』第16話(『HDリマスター』では該当箇部分が修正されている)、久織ちまき著の『SEED DESTINY THE EDGE』第2巻77頁、岩瀬昌嗣著の『SEED DESTINY』第2巻「PHASE-06 インド洋の死闘」などでは大気圏での分離使用がなされる描写がある。

出典 編集

  1. ^ a b カオスガンダム”. 機動戦士ガンダムSEEDシリーズ公式サイト. サンライズ. 2024年6月11日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g h i j k HG カオスガンダム』バンダイ、2004年12月発売、組立説明書。
  3. ^ a b c d e f g h i j k 『1/100 カオスガンダム』バンダイ、2005年1月発売、組立説明書。
  4. ^ a b 『マスターグレード 1/100 ストライクルージュ オオトリ装備 Ver.RM』バンダイ、2013年9月発売、組立説明書。
  5. ^ 『機動戦士ガンダムSEED DESTINY MSエンサイクロペディア』一迅社、2008年11月15日初版発行、21頁。(ISBN 978-4-7580-1126-6)
  6. ^ a b c d e 『機動戦士ガンダムSEED DESTINY MSエンサイクロペディア』一迅社、2008年11月15日初版発行、24-27頁。(ISBN 978-4-7580-1126-6)
  7. ^ a b c d e f g h 『機動戦士ガンダムSEED DESTINYモデル VOL.2 DESTINY MSV編』ホビージャパン、2006年3月31日初版発行、77頁。(ISBN 4-89425-415-8)
  8. ^ 『電撃データコレクション 機動戦士ガンダムSEED DESTINY 上巻』メディアワークス、2007年10月20日初版発行、28-29頁。(ISBN 978-4-8402-4058-1)
  9. ^ 『テレビマガジン特別編集エクストラ機動戦士ガンダムSEED&SEED DESTINY MOBILE SUIT FILE』 講談社、2005年5月、48-49頁。ISBN 4-06-179152-4
  10. ^ 『機動戦士ガンダムSEED&SEED DESTINY MOBILE SUIT FILE』講談社、2005年4月、48-49頁。(ISBN 978-4061791527)
  11. ^ 『機動戦士ガンダムSEED DESTINYモデル VOL.2 DESTINY MSV編』ホビージャパン、2006年3月31日初版発行、150頁。(ISBN 4-89425-415-8)

関連項目 編集