ビッグラン』 (Big Run) は、ビットボックスが開発し、1989年ジャレコから稼働されたアーケード用大型筐体のレースゲーム。

ビッグラン
ジャンル レースゲーム
対応機種 アーケード (AC)
開発元 ビットボックス
発売元 ジャレコ
音楽 高芝泰彦
人数 1人
メディア 業務用基板
(7.94メガバイト
稼働時期 日本 1989121989年12月
デバイス ステアリング
パドル
5ボタン
システム基板 専用基板
CPU MC68000 (@ 10 MHz)×3
サウンド MC68000 (@ 6 MHz)
YM2151 (@ 3 MHz)
OKI6295 (@ 1.584 MHz)×2
ディスプレイ ラスタースキャン
横モニター
256×224ピクセル
30.00Hz
パレット3840色
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パリ-ダカール・ラリーを題材としている。

1991年スーパーファミコンに移植された他、1992年には欧州でAmigaAtari STに移植された。また、2008年には日本国内でiアプリ用ソフトとして『BIGRUN -砂漠の冒険レーサーズ-』のタイトルで配信された。

概要 編集

ダカール・ラリーをモチーフとしている大陸横断レースゲーム。長距離であるラリーレイドをモチーフにしたこともあり、SS数はアーケード版ではプレイ時間の制約上、計6ステージとなっている。実際のラリーレイドとは出走システムが違い、グリッドスタートとなっており、ステージ毎にスプリントレースを行うゲームシステムとなっている。タイムアップ制で、3位以上で入賞するとステージクリアとなり(3位以下であるとタイムアップする程の難度調整が図られている)、次の出走ステージにコマを進められる。各コース上にはアザーカー(当時、ラリーレイドで走っていたプジョー・205三菱・パジェロを模している)や路肩の電柱等の障害物があり、当時としては正確な減速やハンドリングが求められるゲーム性であった。プレイヤーカーはポルシェ・959をモチーフとしている。

筐体デザイン

1989年にアーケードの大型筐体ゲームによるムービングタイプ、可動部のないコックピットタイプ、ジャレコ製汎用筐体である2台以上で通信対戦可能なアップライトタイプであるポニー筐体でリリースされている。

コンパネ上はハンドル、当時のアーケード時流により、2速シフトレバー、ブレーキ、アクセルの他にホーンボタンがついており、遅いアザーカーを払いのける際に使用する。道の細い崖のある道中で使用するとアザーカーが崖から落ちてしまうなど、謎なギミックこそあったが、同時期に出たセガ『パワードリフト』(1988年)等と並び、ある程度の定評があった。

ステージ構成 編集

実際はチュニスからのリエゾン(スタート)ランからはじまり、次のトズール(チュニジア)よりサン・ルイ(セネガル)までがSS区間。そこからリエゾン区間のダカールまでビクトリーランとなる。尚、本来のパリダカではパレードラン時は順位は固定されるが、このゲームの場合は例外的解釈によりレース区間となっている事は前出の通りである。

なお、後述スーパーファミコン版ではスタートのリエゾンランが存在せず、トリポリからムボロまでがSS区間。そこからSS9として実質リエゾン区間のムボロからダカールまでがビクトリーランとなる。

移植版 編集

No. タイトル 発売日 対応機種 開発元 発売元 メディア 型式 備考
1 BIG RUN   199103201991年3月20日
スーパーファミコン トーセ ジャレコ 8メガビットロムカセット[1] SHVC-BR
2 Big Run   1992年
Amiga
Atari ST
Storm The Sales Curve フロッピーディスク -
3 BIGRUN -砂漠の冒険レーサーズ-   200803282008年3月28日
iアプリ ジャレコ ジャレコ ダウンロード
(ジャレコiギャレッソ)
-
スーパーファミコン版
ジャレコのスーパーファミコン参入タイトル第一弾として1991年3月20日にリリース。
まずスポンサーと契約して資金を受け、車体とパーツ(タイヤ・サスペンション・ブレーキ・エンジン)を購入、スタッフ(ナビゲーター・サポート・メカニック。各自省略可能であるがデメリットも存在する)を雇ってレースに臨む設定。時間内にゴールすれば残り時間は次のステージに加算される。
オリジナルのモードとして、パーツダメージ制をとっており、ステージ中でダメージを蓄積しないようにSSを進め、各SSのゴール後に事前購入したパーツで回復していく(交換にはタイムロスが発生するが、サポート・メカニックの能力に左右され次のSSの制限時間に影響する)。
ステージ中で著しいパーツダメージがあると走行に支障が発生、最悪道中でのパーツ交換を強いられ、サポートの到着及びパーツ交換によるタイムロスが発生するシステムとなっている。
携帯アプリ版
ジャレコの携帯電話アプリサイト「ジャレコiギャレッソ」においてiアプリとして配信。SFC版のシステムを当時の時流に併せたアレンジ移植。
車はラリーレイド車であるプロトタイプクラスの三菱パジェロ風の物に変更、オンラインタイム集計対応。車のセッティングやコ・ドライバー(ナビゲーター)をステージの節に応じて選択できる。

開発 編集

本作は、当時セガ(後のセガ・インタラクティブ)よりドロップアウトしたメンバーにより設立された会社「ビットボックス」へ外注制作として依頼し制作された。その後ビットボックスはジャレコに吸収され、ビットボックスのディレクター、メインプログラマー 、メインデザイナーらは同社の業務用開発部に所属し、ビッグランと同じ基板を用いて社内開発で『シスコヒート』(1990年)を制作する[2]

評価 編集

評価
レビュー結果
媒体結果
エレクトロニック・ゲーミング・マンスリー18/40点 (SFC)[3]
ファミ通19/40点 (SFC)[4]
Sinclair User8/10点 (AC)[5]
Your Sinclair78% (AC)[5]
Commodore User85% (AC)[5]
Zero      (AC)[5]
ファミリーコンピュータMagazine20.71/30点 (SFC)[1]
(総合148位)
Raze89% (SFC)[3]
Aktueller Software Markt3.2/12点 (SFC)[3]
Amiga Action17% (Amiga)[6]
Atari ST User20% (ST)[7]
スーパーファミコン版

ゲーム誌『ファミコン通信』の「クロスレビュー」では合計19点(満40点)[4]、『ファミリーコンピュータMagazine』の読者投票による「ゲーム通信簿」での評価は以下の通り20.71点(満30点)となっている[1]。この得点はスーパーファミコン全ソフトの中で148位(323本中、1993年時点)となっている[1]

項目 キャラクタ 音楽 操作性 熱中度 お買得度 オリジナリティ 総合
得点 3.56 3.67 3.50 3.55 3.08 3.35 20.71

脚注 編集

  1. ^ a b c d 「8月情報号特別付録 スーパーファミコンオールカタログ'93」『SUPER FAMICOM Magazine』、徳間書店、1993年8月1日、74頁。 
  2. ^ プラチナゲームズの神谷英樹氏と元ジャレコのmasahiro氏の2015年6月15日のツイートより引用
  3. ^ a b c Jaleco Rally: Big Run - The Supreme 4WD Challenge for SNES (1991)” (英語). Moby Games. Blue Flame Labs. 2018年6月17日閲覧。
  4. ^ a b ビッグラン まとめ [スーパーファミコン]” (日本語). ファミ通.com. KADOKAWA CORPORATION. 2018年6月17日閲覧。
  5. ^ a b c d Big Run for Arcade (1989)” (英語). Moby Games. Blue Flame Labs. 2017年9月9日閲覧。
  6. ^ Big Run for Amiga (1992)” (英語). Moby Games. Blue Flame Labs. 2018年6月17日閲覧。
  7. ^ Big Run for Atari ST (1992)” (英語). Moby Games. Blue Flame Labs. 2018年6月17日閲覧。

関連項目 編集

シスコヒート1990年
本作と同じスタッフで制作された舞台は違うが続編的な位置づけのゲーム。本作ビッグランの基板やシステムを流用して制作されたコンバージョンタイトルであり、この為クラクションボタンも継承されていた。現実のサンフランシスコの街並みの中を市警パトカーで縦断するレースゲームで、実際の著名なスポットを基点としてステージを進めていく。

外部リンク 編集