パンパシフィック水泳選手権

パンパシフィック水泳選手権(パンパシフィックすいえいせんしゅけん、Pan Pacific Swimming Championships)は、環太平洋地域の加盟各国・地域(以下「国など」)が参加する競泳の国際大会である。

概説 編集

1984年に、東欧諸国を筆頭に世界に君臨してきたヨーロッパ各国の勢いに危機感を持った  アメリカ合衆国  カナダ  オーストラリア  日本の4か国が、環太平洋の「水泳のレベル向上に力を結集」するという目的で、パンパシフィック水泳協会を設立した。1985年に東京で第1回大会が開催されている。

当初はオリンピック開催年の前年(日本以外)と翌年(日本固定)、即ち西暦の奇数年に行っていたが、21世紀に入り国際水泳連盟(FINA、現:世界水泳連盟)が世界選手権の開催年をパンパシ大会の従前の開催パターンに変更し固定したため、オリンピック開催年の中間年である4年に1度、設立4か国の持ち回り形式で開催する方式に改められた。年次ローテーションとしては「オリンピック→世界選手権→パンパシ大会→世界選手権→オリンピック」となる。

近年は、アフリカ諸国、ブラジル中国など環太平洋ではない国にも参加が拡がっている。オリンピック・世界水泳選手権と並んで「世界3大大会」の1つと数えられる事もある。[1]

なお、この大会は飛込水球アーティスティックスイミング・ハイダイビングは行われないが、オープンウォータースイミングは第10回(2006年)より採用されている。

第14回は2022年の予定だったが、新型コロナウィルスの影響で、2026年に延期された[2][3]

国別対抗戦 編集

この大会はほとんどの国際大会と同じく、「国別対抗戦」の性格も有する[4]ため、リレー競技が実施される。

この大会での得点方式は、決勝進出者・国などにその最終順位に応じて優勝:8点から8位:1点までの形で得点を与え、優勝者には「金メダルポイント」としてもう1点与えられる。リレー競技では2倍となるため、優勝国などには18点が与えられることになる。なお同着の場合はその順位と本来の1つ下の順位との得点を合算し2分するため、個人では0.5点(金同着の場合は1点)損する形になる。例えば、同着で銅メダル獲得者が2人出た場合、3位の6点と4位の5点を合算した11点を2分した5.5点を、2人にそれぞれ与える。

その合計点で最終的に争われ、対抗戦優勝国などにはトロフィーが贈られる。

毎回、水泳強国の  アメリカ合衆国  オーストラリアが激しい優勝争いを繰り広げていて、時々  日本もこの争いに加わることがある。

開催地一覧 編集

開催年 開催地
1 1985年   東京
2 1987年   ブリスベン
3 1989年   東京
4 1991年   エドモントン
5 1993年   神戸
6 1995年   アトランタ
7 1997年   福岡
8 1999年   シドニー
9 2002年   横浜
10 2006年   ビクトリア
11 2010年   アーバイン
12 2014年   ゴールドコースト
13 2018年   東京
14 2026年  トロント

大会記録 編集

男子 編集

種目 記録 選手 国籍 日時 大会
50m自由形 21秒55 ネイサン・エイドリアン   アメリカ合衆国 2010年8月21日  アーバイン大会
100m自由形 48秒13 マイケル・フェルプス   アメリカ合衆国 2010年8月20日  アーバイン大会
200m自由形 1分44秒75 イアン・ソープ   オーストラリア 2002年8月26日  横浜大会
400m自由形 3分41秒83 イアン・ソープ   オーストラリア 1999年8月22日  シドニー大会
800m自由形 7分44秒79 グラント・ハケット   オーストラリア 2002年8月25日  横浜大会
1500m自由形 14分41秒65 グラント・ハケット   オーストラリア 2002年8月28日  横浜大会
50m背泳ぎ 24秒82 ニック・トーマン   アメリカ合衆国 2010年8月19日  アーバイン大会
100m背泳ぎ 52秒91 アーロン・ピアソル   アメリカ合衆国 2014年8月18日  アーバイン大会
200m背泳ぎ 1分54秒12 ライアン・ロクテ   アメリカ合衆国 2010年8月20日  アーバイン大会
50m平泳ぎ 27秒26 フェリペ・シウバ   ブラジル 2010年8月20日  アーバイン大会
100m平泳ぎ 59秒04 北島康介   日本 2010年8月19日  アーバイン大会
200m平泳ぎ 2分07秒75 渡辺一平   日本 2018年8月12日 東京大会
50mバタフライ 23秒03 セーザル・シエロ   ブラジル 2010年8月18日  アーバイン大会
100mバタフライ 50秒86 マイケル・フェルプス   アメリカ合衆国 2010年8月20日  アーバイン大会
200mバタフライ 1分53秒80 マイケル・フェルプス   アメリカ合衆国 2006年8月17日  ビクトリア大会
200m個人メドレー 1分54秒43 ライアン・ロクテ   アメリカ合衆国 2010年8月21日  アーバイン大会
400m個人メドレー 4分07秒59 マイケル・フェルプス   アメリカ合衆国 2010年8月19日  アーバイン大会
4x100mフリーリレー 3分12秒46 マイケル・フェルプス(48秒13)
ライアン・ロクテ(47秒98)
ジェイソン・レザク(48秒12)
ネイサン・エイドリアン(47秒51)
  アメリカ合衆国 2010年8月20日  アーバイン大会
4x200mフリーリレー 7分03秒84 マイケル・フェルプス(1分45秒61)
ピーター・バンダーカーイ(1分46秒46)
リッキー・ベレンズ(1分46秒49)
ライアン・ロクテ(1分45秒27)
  アメリカ合衆国 2010年8月19日  アーバイン大会
4x100mメドレーリレー 3分31秒79 アーロン・ピアソル(53秒74)
ブレンダン・ハンセン(59秒18)
イアン・クロッカー(50秒92)
ジェイソン・レザク(47秒95)
  アメリカ合衆国 2006年8月20日  ビクトリア大会
10kmオープンウォーター 1時間54分26秒68 チップ・ピーターソン   アメリカ合衆国 2006年8月21日  ビクトリア大会

女子 編集

種目 記録 選手 国籍 日時 大会
50m自由形 24秒63 ジェシカ・ハーディ   アメリカ合衆国 2010年8月21日  アーバイン大会
100m自由形 53秒67 ナタリー・コーグリン   アメリカ合衆国 2010年8月19日  アーバイン大会
200m自由形 1分56秒10 アリソン・シュミット   アメリカ合衆国 2010年8月18日  アーバイン大会
400m自由形 3分58秒37 ケイティ・レデッキー   アメリカ合衆国 2014年8月23日  ゴールドコースト大会
800m自由形 8分16秒22 ジャネット・エバンス   アメリカ合衆国 1989年8月20日  東京大会
1500m自由形 15分28秒36 ケイティ・レデッキー   アメリカ合衆国 2014年8月24日  ゴールドコースト大会
50m背泳ぎ 27秒83 ソフィー・エディトン   オーストラリア 2010年8月19日  アーバイン大会
100m背泳ぎ 59秒45 エミリー・シーボム   オーストラリア 2010年8月19日  アーバイン大会
200m背泳ぎ 2分07秒48 エリザベス・ペルトン   アメリカ合衆国 2010年8月20日  アーバイン大会
50m平泳ぎ 30秒03 ジェシカ・ハーディ   アメリカ合衆国 2010年8月20日  アーバイン大会
100m平泳ぎ 1分04秒93 レベッカ・ソニ   アメリカ合衆国 2010年8月19日  アーバイン大会
200m平泳ぎ 2分20秒69 レベッカ・ソニ   アメリカ合衆国 2010年8月21日  アーバイン大会
50mバタフライ 25秒99 マリーク・ゲラー
ヨレーネ・クックラ
  オーストラリア 2010年8月18日  アーバイン大会
100mバタフライ 57秒30 ジェシカ・シッパー   オーストラリア 2006年8月19日  ビクトリア大会
200mバタフライ 2分05秒40 ジェシカ・シッパー   オーストラリア 2006年8月17日  ビクトリア大会
200m個人メドレー 2分09秒93 エミリー・シーボム   オーストラリア 2010年8月21日  アーバイン大会
400m個人メドレー 4分34秒04 エリザベス・バイゼル   アメリカ合衆国 2010年8月19日  アーバイン大会
4x100mフリーリレー 3分35秒11 ナタリー・コーグリン(54秒25)
ジェシカ・ハーディ(53秒45)
アマンダ・ウィアー(53秒85)
ダナ・ボルマー(53秒58)
  アメリカ合衆国 2010年8月20日  アーバイン大会
4x200mフリーリレー 7分51秒21 ダナ・ボルマー(1分58秒05)
モーガン・スクロギー(1分57秒89)
ケイティ・ホフ(1分58秒70)
アリソン・シュミット(1分56秒53)
  アメリカ合衆国 2010年8月19日  アーバイン大会
4x100mメドレーリレー 3分55秒23 ナタリー・コーグリン(59秒85)
レベッカ・ソニ(1分05秒35)
ダナ・ボルマー(56秒91)
ジェシカ・ハーディ(53秒12)
  アメリカ合衆国 2010年8月21日  アーバイン大会
10kmオープンウォーター 2時間0分33秒83 クリスティン・ジェニングス   アメリカ合衆国 2010年8月22日  アーバイン大会

ジュニアパンパシフィック大会 編集

ジュニアパンパシフィック水泳選手権は太平洋各地でハイレベルの 18 歳以下の選手が参加する長水路水泳イベントです。このイベントは隔年偶数年に開催され、世界選手権/ジュニア選手権以外の年に開催されます。このイベントは2018年に最後に開催されたが、他のイベントは新型コロナウイルス感染症の世界的大流行により延期または中止された。今後のイベントは2022年以降まで延期された。

開催地一覧 編集

開催年 開催地
1 2005年   マウイ
2 2007年   マウイ
3 2009年   グアム
4 2010年   マウイ
5 2012年   ホノルル
6 2014年  マウイ
7 2016年  マウイ
8 2018年   スバ
9 2022年   ホノルル
10 2024年   キャンベラ


脚注 編集

  1. ^ パンパシとは - パンパシ水泳 2018【公式】- パンパシフィック水泳選手権大会 2018、2018年8月12日閲覧
  2. ^ オリンピックチャンネル
  3. ^ 産経ニュース
  4. ^ パンパシ水泳 2018 パーフェクトガイド - 国別対抗戦”. 2018年10月3日閲覧。

外部リンク 編集