デ・ハビランド DH.89 ドラゴン・ラピード

デ・ハビランド DH.89 ドラゴン・ラピード(de Havilland DH.89 Dragon Rapide)とは、イギリス航空機メーカーであったデ・ハビランド1930年代に開発した双発輸送機である。ドラゴン・ラピードは主に近距離旅客機として運用され、第二次世界大戦中は軍事用として運用された。またイギリスで1930年代に開発されたほかの航空機よりも操縦性に優れていたため、最も商業的成功を収めた機体であった。

1944年に製造されたドラゴン・ラピード.89A Mk6

概略 編集

 
刑事フォイル第8シリーズ第3話(2015年放送)の撮影で使われたG-AKIF

ドラゴン・ラピードが初飛行したのは1934年4月17日であった。同社のドラゴンシリーズとして開発されたが、機体構造はベニヤ板使用の木製で、複葉翼は羽布張り、脚スパッツとエンジンカバーが一体になったナセルという特徴があった。エンジンにはデ・ハビランド・ジプシー・シックス(軍用型はデ・ハビランド ジプシー・クイーン)が採用された。

第二次世界大戦までに205機が生産され、旅客機として運用されたほか、戦中にはイギリス空軍航法訓練機”デハヴィランド・ドミニ”として採用され、500機以上が生産された。シリーズ全体では731機が生産された。

ドラゴン・ラピードは木製でありながら、非常に耐久性のある航空機であり、戦後も旅客機として活躍しており、1958年にイギリス国内で81機が登録され活躍していた。その後商業路線から引退した。

2000年代イギリスニュージーランドに個人所有の飛行可能な機体が存在しており、第二次大戦前後を舞台とした作品の撮影などでも使用されている。

派生型 編集

D.H.89 Dragon Six
プロトタイプ
D.H.89
双子エンジンを搭載した初期生産型
D.H.89A
ウイングチップと機内暖房を改良したタイプ
D.H.89A Mk 4
ジプシークインエンジン2基を搭載したタイプ
D.H.89A Mk 5
ジプシークインエンジン3基を搭載したタイプ
D.H.89A Mk 6
フェアリーX5固定ピッチプロペラを搭載
D.H.89M
リトアニアとスペインに輸出された軍用輸送機
D.H. 89B Dominie Mk I
航法訓練機
D.H. 89 B Dominie Mk II
輸送機及び連絡機

運用 編集

 

民間 編集

  オーストラリア
  カナダ
  フィンランド
  アイルランド
  インド
  マレーシア
  オランダ
  ニュージーランド
  イギリス
  イギリス委任統治領パレスチナ
パレスチナ・エアウェイズ
アヴィロン - 民間会社であるが、実質的にはユダヤ人武装組織ハガナーの航空訓練学校として活動。

軍用 編集

  オーストラリア
  フィンランド
  ドイツ鹵獲機)
  イラン
  イラク
  イスラエル
  リトアニア
  ニュージーランド
  南アフリカ連邦
  スペイン
  イギリス
  アメリカ合衆国

機体性能 編集

  • 乗員=1
  • 乗客=8(最大)
  • 全長=10.5 m
  • 全幅=14.6 m
  • 高さ=3.1 m
  • 翼面積=32 m²
  • 空虚重量=1,460 kg
  • 全備重量=2,490 kg
  • エンジン=デ・ハビランド ジプシー・クイーン200 hp(150 kW)初期型 ×2
  • 最大速度=253 km/h
  • 航続距離=920 km
  • 最大上昇限界高度=5,090 m

脚注 編集

関連項目 編集