ディガンマ関数

ガンマ関数のログの導関数
ディガンマ函数から転送)

数学において、ディガンマ関数(でぃがんまかんすう、: digamma function)あるいはプサイ関数(ぷさいかんすう、: psi function)とはガンマ関数対数微分で定義される特殊関数[1]ポリガンマ関数の一種である。

実数x に対するψ(x)の挙動
複素平面上でのψ(z )。点z における色が ψ(z) の値を表しており、濃いほど 0 に近い。色調はその値の偏角を表す。

定義 編集

ガンマ関数   に対し、その対数微分

 

ディガンマ関数と呼ぶ。

ディガンマ関数は、  で一位のをもち,それらの点を除く全複素平面では解析的になる。

基本的性質 編集

ガンマ関数のワイエルシュトラスの無限乗積表示

 

を対数微分することで、ディガンマ関数における

 

という表示を得る。特に  とすれば、次の特殊値

 

を得る。但し、 オイラーの定数である。

また、ディガンマ関数は次の漸化式を満たす[2]

 

この関係式から、一般に

 

であり、特に  とすれば、特殊値

 

が得られる。

級数表示 編集

ディガンマ関数とその導関数  で次の級数表示を持つ。

 
 

これらの級数は、ガンマ関数のワイエルシュトラスの無限乗積表示

 

の対数微分から導かれるものである、

また、  でのテイラー展開により、  の領域で次のように級数表示される。

 

ただし、 リーマンゼータ関数を表す。

積分表示 編集

  のとき、ディガンマ関数は次の積分表示を持つ。

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但し、 双曲線余接関数を表す。

また、ディガンマ関数同士の差について、以下が成り立つ。

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相反公式 編集

ガンマ関数の相反公式に対し、対数微分をとることで次の関係式が導かれる。

 

但し、 余接関数を表す。

漸近展開 編集

  のとき、ディガンマ関数は次の漸近展開をもつ。

 

但し、 ベルヌーイ数である。

特殊値 編集

ディガンマ関数は、正の整数において、次の値をとる。

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但し、 調和数を表す。

また、正の半整数において、次の値をとる。

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脚注 編集

  1. ^ Abramowitz & Stegun 1965, p. 258, 6.3. Psi (Digamma) Function.
  2. ^ 差分作用素   を用いると、これは   となる。つまりディガンマ関数   不定和分のひとつである。

参考文献 編集

関連項目 編集