セビリャーナ (エルガー)

セビリャーナ』(Sevillana作曲者自身の表記ではSevillaña (Scène Espagnole)[注 1]作品7は、エドワード・エルガー1884年に作曲した管弦楽曲

概要 編集

この曲の作曲当時エルガーは26歳の青年で、ヘレン・ウィーヴァーとの婚約が破談になったばかりであった。エルガーにヴァイオリンを教えていたアドルフ・ポリッツァー指揮者アウグスト・マンスに楽譜を見せると、マンスは1884年5月12日水晶宮で行われたコンサートでこの曲を演奏した[2]。これは同年5月1日ウスター大聖堂英語版の聖堂オルガニストだったウィリアム・ダン指揮により、ウスター・フィルハーモニック協会で曲が初演されたすぐ後のことであった。エルガーにとって、この曲がロンドンで紹介された自作の管弦楽曲第1号となった[3]

初版譜はTuckwoodから、1889年の作曲者自身による改訂譜は1895年にAscherbergから出版された[4]。曲はバーミンガム音楽祭で指揮者を務めていたW.C.ストックリーへと献呈されている。

演奏時間 編集

約5分

楽器編成 編集

フルート2(ピッコロ持ち替え)、オーボエ2、クラリネット2、ファゴット2、ホルン2、コルネット2、トロンボーン2、バストロンボーンチューバ打楽器小太鼓タンバリン大太鼓シンバルトライアングル)、弦五部[5]

楽曲構成 編集

アレグロモデラート 3/8拍子 ト短調

スペインセビジャーナスの舞踏のリズムで始まる。簡潔な導入の後、譜例1の主題がヴァイオリンに出される。

譜例1

 

付点のリズムによる小結尾を経てト長調となり、優美な旋律が奏でられる(譜例2)。

譜例2

 

ニ長調の陽気なエピソード(譜例3)が続き、活気に満ちて進む。

譜例3

 

譜例2、譜例3を用いてしばし展開されると、付点のリズムが顔をのぞかせ、譜例1の再現となる。コーダではコン・フォーコで譜例2が出されると、プレストで譜例1も続き、速いテンポの中で畳み掛けるように曲を閉じる。

脚注 編集

注釈

  1. ^ 作曲者は架空のスペイン語を用いて"Sevillaña"(セビリャーニャまたはセビジャーニャ)と名付けたが[1]、彼は正しい綴りが"Sevillana"(セビリャーナ)であることを認識していたと考えられる。これはフランス語の副題"Scène Espagnole"(スペインの風景)が付されていることとも関係するものと思われる。

出典

  1. ^ Score, Elgar: Sevillaña” (PDF). Charles Tuckwood, London. 2014年8月3日閲覧。
  2. ^ Moore, pp. 103-6
  3. ^ Booklet for "Spanish Festival Volume 1", 8.550086”. NAXOS. 2014年8月3日閲覧。
  4. ^ Kennedy, p. 278
  5. ^ IMSLP, Elgar, Sevillana”. 2014年8月3日閲覧。

参考文献 編集

  • Kennedy (1987). Portrait of Elgar (Third ed.). Oxford: Clarendon Press. ISBN 0-19-284017-7 
  • Moore, Jerrold N. (1984). Edward Elgar: a Creative Life. Oxford: Oxford University Press. ISBN 0-19-315447-1 
  • 楽譜, Elgar, Sevillana, Charles Tuckwood, London

外部リンク 編集